
肩こり
肩こりとは
頚部から肩甲間部に及ぶ範囲に起こる、詰まった感じやこわばり・引っ張られる感じ・
重い・だるい・重だるい・張った感じ・疲労感・疼痛(痛みを感じる)・圧痛・動かす
のがつらい(可動域制限)、などの不快感を総称したもの。
《肩こりが起こる原因》
・整形外科的疾患
・内科的疾患
・眼科、耳鼻科的疾患
・精神神経的疾患
・産婦人科的疾患
・その他
【整形外科的疾患が原因のもの】
・変形性頚椎症
・頚椎椎間板ヘルニア
・後縦靱帯骨化症
・頚肩腕症候群
・肩関節周囲炎(四十肩、五十肩)
・胸郭出口症候群
・頚椎捻挫(むち打ち)
・リウマチ性多発筋痛症
(・繊維筋痛症 )
【内科的疾患が原因のもの】
・胆石(左肩が痛む)
・狭心症(左肩から腕にかけての痛みやしびれ)
・高血圧
・糖尿病
・悪性腫瘍
・風邪
【眼科、耳鼻科的疾患が原因のもの】
・慢性扁桃腺炎
・眼精疲労
【精神神経的疾患が原因のもの】
・うつ病
・自律神経失調症
・ストレス
【産婦人科的疾患が原因のもの】
・更年期障害
【その他】
・顎関節症
東洋医学的観点でみた肩こり
: 主に気血(きけつ)の不順と風(ふう)、寒(かん)、湿(しつ)の邪に侵されて起こる
と考えられています。
① 風寒による肩こり → 冷え性タイプ
【発生機序】 寒い環境にいた為に風寒の邪気が体内に侵入し気血の巡りを阻害して
温煦作用(おんくさよう)が低下することで起こる。
【主な症状】 肩こりがひどく、風寒に当たると憎悪する。
拒按(揉まれることを嫌がる)。冷感。
〈随伴症状〉発熱・悪寒・頭痛・鼻水・鼻づまり・くしゃみ
② 寒湿による肩こり → 冷え性タイプ
【発生機序】 寒冷と湿気の多い環境にいた為に寒湿の邪気が体内に侵入し気血の
巡りを阻害して温煦作用が低下することで起こる。
【主な症状】 肩が重だるい。冷感。温めると緩和。雨天時に憎悪する。
〈随伴症状〉浮腫(むくみ)・めまい・下痢
③ 肝陽による肩こり → 高血圧タイプ
【発生機序】 ストレス、肝の疏泄機能の失調、肝気のうっ滞、化火、肝陰を消耗、
肝陽の亢進、肝陽が頚部や肩甲間部に昇る、など。
【主な症状】 肩こり、局部が張った感じがする。
〈随伴症状〉イライラ・怒りっぽい・めまい
④ 肝血不足による肩こり → 血行障害タイプ
【発生機序】 血虚、栄養失調、眼精疲労、久病、産後などによる血不足、など。
【主な症状】 肩こり、眼精疲労、目のかすみ、目の乾燥
〈随伴症状〉めまい・顔、爪、唇にツヤがない・月経量が少ない・閉経
⑤ 瘀血(おけつ)による肩こり → 血行障害タイプ、ストレス(イライラ)タイプ
【発生機序】 不良姿勢、外傷などで気血の運行が阻害され気滞血お(漢字は
やまいだれに“於”)の状態となり局部に血が滞るなどによる。
【主な症状】 肩こり。脹痛または刺痛、局部にお斑(青タンみたいなもの)や
細絡(毛細血管)が見える。
〈随伴症状〉抑うつ・胸脇苦満・イライラ・月経不順
参照文献
「臨床医学総論」医歯薬出版 (社)東洋療法学校協会/編 奈良 信雄/著 (2006/01)・「臨床医学各論」第2版 医歯薬出版 (社)東洋療法学校協会/編 奈良 信雄 ほか/著(2006/01) ・「解剖学」 医歯薬出版 (社)東洋療法学校協会/編 河野邦雄、伊藤隆造、堺章/著(2005/01)・「生理学」第2版 医歯薬出版 (社)東洋療法学校協会/編 佐藤優子、佐藤昭夫 ほか/著(2005/01)・「図解入門 よくわかる生理学の基本としくみ」秀和システム 當瀬規嗣/著 (2006/04)・「解剖生理学 」改訂第2版 医学芸術社 竹内修二/著 (2006/10)・「標準整形外科学」第10版 医学書院 監修 国分 生二、鳥巣 岳彦 (2008/04)・「自律機能生理学」金芳堂 佐藤 昭夫、佐藤 優子、五嶋 摩理/著 (1995/08)・「カパンディ 関節の生理学1〜3巻」原著第5版 医歯薬出版 カパンディ/著、嶋田 智明/訳(1986/01)・「身体運動の機能解剖」改訂版 医道の日本社 Clem W. Thompson/著、中村 千秋/訳 (2002/05)・「経絡経穴概論」医道の日本社 (社)東洋療法学校協会/編 教科書執筆小委員会/著(2005/03)・「東洋医学概論」医道の日本社 (社)東洋療法学校協会/編 教科書執筆小委員会/著(2006/03)・「よくわかる頭痛・めまい・しびれのすべて 鑑別診断から治療まで」永井書店 東儀英夫/編(2005/07)・「マーティン 神経解剖学 テキストとアトラス」西村書店 ジョン・H・マーティン/著 野村嶬、金子武嗣/監訳(2007/03)
参照サイト
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